プロジェクト概要
愛知県に本社を置く中堅自動車部品メーカー(従業員約500名、生産拠点3か所)より、製造オペレーションの近代化についてご相談をいただきました。同社は日本の主要自動車メーカーへ精密部品を供給しており、データ駆動型の産業環境において競争優位性を維持する必要がございました。
課題
お客様の製造オペレーションは、導入から12年以上経過したレガシーMES(製造実行システム)に依存しておりました。品質管理プロセスは依然として紙ベースで行われており、3つの工場フロアにわたるリアルタイムの可視性が確保されていない状況でした。これにより、以下のような重大な課題が生じておりました:
- 報告の遅延と手書きの検査記録に起因する15%の不良品流出率
- 設備性能のリアルタイム把握ができず、予知保全ではなく事後対応型の保全を実施
- 3拠点のスプレッドシートからの月次報告書作成に2週間を要していた
- 工場間のデータサイロにより、拠点横断での生産スケジュール最適化が不可能
- OEM顧客からの全部品に対するデジタルトレーサビリティ要求の増大
お客様は以前、社内でデジタル化プロジェクトを試みられましたが、IoTおよびクラウドエンジニアリングの専門リソース不足により中断を余儀なくされておりました。既存のIT部門と協調しながら、かつ稼働中の生産に影響を与えない専任チームが必要とされておりました。
ソリューション
BCT Globalは、IoTスペシャリスト2名、フルスタック開発者3名、クラウドアーキテクト1名、データエンジニア1名、そして東京連絡オフィスに常駐するバイリンガルプロジェクトマネージャー1名で構成されるラボ型専任チーム8名を配置いたしました。プロジェクトは2週間スプリントのアジャイル手法で進行し、毎週お客様の製造リーダーシップへのデモを実施いたしました。
アプローチは3つのフェーズに分けて実施いたしました:
- フェーズ1 — IoTインフラ構築(1〜4ヶ月目):3つの工場フロアに200以上のIoTセンサーを設置し、設備の振動、温度、サイクルタイム、生産品質をリアルタイムでモニタリング。AWS IoT Coreへ接続し、データの一元管理を実現。
- フェーズ2 — ダッシュボード&アナリティクス(4〜9ヶ月目):リアルタイムOEE(総合設備効率)モニタリング、予知保全アラート、品質分析機能を備えたReactベースのカスタムダッシュボードを構築。日本語・英語の両インターフェースに対応。
- フェーズ3 — クラウド移行&統合(9〜14ヶ月目):レガシーMESデータをAWS(Lambda、RDS、S3)へ移行し、既存のSAP ERPシステムと統合。OEM顧客向けの品質トレーサビリティレポートの自動生成を実装。
プロジェクト全体を通じて、すべての機密生産データはAPPI(個人情報保護法)に準拠して取り扱いました。BCT GlobalのISO 27001認証が、情報セキュリティ対策に対するお客様の信頼を支えました。
システムアーキテクチャ
技術スタック
導入効果
本格稼働後の最初の四半期で、予知保全アラートにより計画外ダウンタイムが40%削減されました。以前2週間を要していた月次報告は、あらゆるデバイスからアクセス可能なリアルタイムダッシュボードに置き換わりました。不良品流出率は15%から6%に低下し、プロジェクト完了後8ヶ月以内にROIを達成いたしました。
本プロジェクトの成功を受け、フェーズ1で収集したセンサーデータを活用したAI品質予測モデルの開発をフェーズ2としてご契約いただいております。
「BCT Globalのチームは、私たちの工場オペレーションにシームレスに溶け込んでくれました。バイリンガルのプロジェクトマネージャーは、技術要件だけでなく日本の製造業文化の機微も理解しておりました。ISO 27001およびISO 9001の認証を取得していることは、特にAPPIに準拠した機密生産データの取り扱いにおいて、初日から安心感を与えてくれました。」
製造技術部長 日本の自動車部品メーカー — 従業員500名以上、愛知県